たけのこを調理した後も時々、苦味が残ってしまうことがあります。この苦味が残ると食べにくくなり、食欲をそぐこともあります。
では、苦味が残った場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?
本記事では、苦味が残る原因とそれをどう処理すれば良いか、さらに苦味が残ってしまったときの美味しい食べ方を解説します。
たけのこのアク抜きに失敗:苦味の原因と対策
たけのこの苦味が完全に消えないことがあります。食べたときにそのえぐさや苦さに驚くこともあるでしょう。
では、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?まずはたけのこが苦くなる原因を見ていきましょう。
収穫後の時間が影響
たけのこが苦くなる主な原因として、収穫後から加工までの時間が影響しています。
収穫されたたけのこは、自己防衛のために苦味成分を増やす性質があります。この自己防衛機構は、たけのこが「自分を守るため」に作動します。
収穫直後のたけのこは苦味成分が少ないため、すぐに加工すれば特別なあく抜きをしなくても食べられることがあります。
しかし、時間が経過すると苦味成分は急速に増加し、翌日にはその量が倍になることもあります。時間が経つほどにたけのこの内部の苦味成分は増えていきます。
そのため、時間が経ったたけのこは特に苦味が強くなる傾向があります。
たけのこの主な苦味成分にはシュウ酸やホモゲンチジン酸があり、これらはたけのこ自体が生成するものです。
「たけのこは掘ったらすぐに処理するべし」とよく言われるのは、苦味成分が増加する前に加熱し、その生成を抑制するためです。
茹で時間不足がたけのこの苦味を残す原因
たけのこを効果的に処理するには、通常1時間から2時間、弱火でゆっくり煮る必要があります。
圧力鍋を使用すれば時間を短縮できますが、根本部分が柔らかくなるまでしっかり煮込むことが重要です。
苦味が残る主な理由の一つが、茹で時間の不足です。
これには二つの理由があります。まず、たけのこの内部までしっかり熱を通し、苦味成分の生成を完全に停止させる必要があります。
特にシュウ酸の生成を止めることが重要です。
また、アミノ酸の一種であるチロシンが酵素の作用で苦味成分ホモゲンチジン酸へ変わるのを防ぐ必要があります。
このチロシンは、たけのこの表面に白い粉状の塊として見られますが、高温でこの酵素の活動を停止させることができます。
これにより、チロシンが苦味成分に変化するのを防ぎます。
二つ目の理由は、たけのこを充分に柔らかくすることです。
茹でることにより、たけのこが柔らかくなり、細胞から苦味成分が抜けやすくなります。
根本部が十分に柔らかくなるまで煮なければ、効果的に苦味が抜けることはありません。
茹で汁での冷却時間不足
たけのこを茹でた後、一般的にはそのままの茹で汁で冷却します。
この茹で汁での放置時間が短いと、苦味が完全に抜けません。この過程は、火を止めた後も茹で汁の中で続きます。
苦味成分は水溶性であり、特に弱アルカリ性の水によく溶ける性質を持っています。
米ぬかや米のとぎ汁、重曹を加えた水などのアルカリ性の水を使用すると、苦味成分がより効果的に抜けます。
茹で汁に長時間浸すのは、単に粗熱を取るだけではなく、苦味成分をしっかりと抜くために8時間以上の浸漬が推奨されます。
時間が経過して苦味成分が多く含まれているたけのこは、一度茹でこぼしてから新しい米ぬか入り水やとぎ汁、または重曹水で再度煮るとより効果的です。
たけのこのアク抜きに失敗:苦味対策とおすすめの再処理法
たけのこのあく抜きをしても苦味が残ると、食欲が減退してしまいます。
未調理で苦味が残っているたけのこは、再度あく抜きをすることで効果的に対処できます。
たけのこを米ぬかや重曹を含む水で再び茹でることで苦味を抑えることができます。
たけのこの主な苦味成分であるシュウ酸やホモゲンチジン酸は水溶性であり、特にホモゲンチジン酸は弱アルカリ性の水でよく溶けます。
米ぬかや米のとぎ汁、重曹を加えた水で10分程度再茹でした後、半日以上その茹で汁に浸すことで苦味をより効果的に除去できます。
重曹は特に効果的ですが、風味が減少することがあるので注意が必要です。
米ぬかを使用すると、苦味は若干残りますが、たけのこの旨味が増す効果があります。
あく抜きの方法はお好みで選ぶことができますが、苦味が強い場合は重曹の使用を検討すると良いでしょう。
ただし、重曹を多く使い過ぎるとたけのこが茶色く変色する可能性があるため、1リットルの水に対して小さじ1杯を目安にしてください。
苦味が残るたけのこの利用方法と料理の提案
天ぷらにする
苦味が残るたけのこは天ぷらにすると良いです。
油で揚げることで苦味が油に包まれ、食感を楽しむことができます。
たらの芽のような苦味のある野菜も天ぷらにするとおいしく感じます。
たけのこも同様に天ぷらにしてみると、苦味が気にならなくなり、より楽しめるようになります。
カルシウムと共に調理して苦味を軽減
たけのこに含まれるシュウ酸は、カルシウムと結びつくと水に不溶性のシュウ酸カルシウムを形成します。
この形態では唾液にも溶けにくいため、苦味が感じられにくくなります。
カルシウムを豊富に含む食材と一緒に調理することで、苦味を減らすことができます。
例えば、カルシウムが豊富なワカメを加える若竹煮や、牛乳を使用したグラタンやクリーム煮が効果的です。
濃い味付けで苦味を隠す
苦味が強いたけのこは、濃厚な味付けでその味をカバーすることができます。
チンジャオロース、マーボー豆腐、マーボー春雨など、味の濃い料理を選ぶと、たけのこの苦味を上手く隠すことが可能です。
調理後に残る苦味への対処法
たけのこの煮物が苦い場合
煮物にしたたけのこが苦味を持っていることに気づいた場合は、それを天ぷらにすることで苦味を感じにくくすることができます。
天ぷらは味がついているため、そのままでも美味しく食べられます。
たけのこご飯が苦い場合
たけのこで炊いたご飯が苦い場合、濃厚な味の料理と一緒に食べることで苦味をカバーできます。
たとえば、佃煮や濃いデミグラスソースのハンバーグと合わせると良いでしょう。
また、カレーをかけるのも一つの方法です。
苦味のあるたけのこご飯をリメイクする方法として、ライスコロッケがおすすめです。
たけのこご飯に玉ねぎとチーズを混ぜ、小麦粉、卵、パン粉の順に衣をつけて揚げます。
中にチーズを入れ、油で揚げることでさらに美味しく、苦味が感じにくくなります。
たけのこのアク抜きに失敗:最後のアドバイス
たけのこの苦味があく抜き後も残ることがあります。
これは、収穫後の時間が経過しているため、苦味成分が増加している可能性が高いからです。
そのため、たけのこを購入または収穫した際には、どの程度時間が経過しているかを確認することが重要です。
時間が経過しているたけのこを使用する場合は、その点を考慮に入れてあく抜きを行うと良いでしょう。
また、この情報は料理を選ぶ際にも役立ちます。
たけのこのあく抜きが初めてうまくいかないこともありますが、その場合は諦めずに再度茹で直すことで、苦味を軽減することができます。
一度でうまくいかなかった場合でも、再チャレンジすることをお勧めします。