正月に玄関や門に置かれる門松は、通常は左と右に一つずつ飾るのが伝統的です。
これは、新年を迎える歳神様への道しるべとしての役割を担っています。
しかし、もし目印としての機能を果たすなら、一つの門松でも充分ではないでしょうか。
一つだけ設置する場合の具体的な飾り方が気になるところです。
この記事では、門松を一つだけ飾るメリットと、その際の適切な飾り方、さらには展示すべき期間について解説します。
門松ひとつだけでも問題なし？
お正月の初売り時、多くの店舗が入口に門松を左右に飾る姿を見かけるため、それが一般的な飾り方だと思われがちです。
しかし、門松を飾る方法や期間に特別厳しいルールは存在せず、ひとつだけで充分な場合もあります。
かつては、ひとつの門松を庭に飾ることが一般的で、その習慣が江戸時代に現在のような両側への飾り方に変わり始めたとされています。
私の住む地域では、集合住宅での門松の設置に制約があることが多く、そのため家庭によっては毎年飾らなかったり、ひとつだけを選んだりしています。
つまり、各家庭の状況に応じて門松の数を調整しているのが実情です。
門松はなぜペアで飾られるのか？
門松を左右に一対で飾る習慣は、狛犬や沖縄のシーサーのようなペアで存在する文化的アイテムが多いことに由来します。
日本ではこのようなペアでの飾り付けが自然と受け入れられていますので、門松も左右対称に飾ることが一般的です。
門松を単独で飾る場合の意味
通常、門松に用いられる竹は長さが異なる3本で構成されており、それぞれが異なる象徴的な意味を持っています。
長い竹は「男性」を、短い竹は「女性」を、中間の長さの竹は「中立的な立場」を象徴しています。
これらは特定の配置にも意味が込められており、出飾りと迎え飾りの二つの異なる飾り方があります。
出飾りは家の外に向けて中間の竹を配置し、家の外へのエネルギー流出を象徴し、子供の成長や結婚などの願いを表します。
一方、迎え飾りは家の内に向けて中間の竹を配置し、福を家に迎え入れる意味を持ち、商売繁盛や家庭の幸福を願う際に選ばれます。
ひとつの門松、どう設置する？
門松をひとつだけ設置する際の方法を詳しく解説します。
ペアでの設置とは異なる点にも触れながら、効果的な飾り方をご紹介します。
門松の設置基準
ここでは、門松の設置位置や使用する松の種類、飾り方について説明します。
設置位置
江戸時代以前には、門松は庭にひとつだけ設置されることもありましたが、現在では玄関や門の前に目印としてひとつまたは二本設置するのが一般的です。
使用する松の種類
門松に用いる松には、主に竹と松が使用され、松は雄松と雌松の二種類があります。
・雄松：葉が濃くて硬い大きな葉
・雌松：葉が赤みがかっており柔らかい小さな葉
雄松と雌松の識別は一見では難しいため、注意が必要です。
松の配置
松を配置する際は、雄松を玄関や門の左側、雌松を右側に置くのが通例です。
松の種類の識別が難しい場合は、出飾りと迎え飾りの位置から決めると良いでしょう。
・出飾り：玄関や門に向かって左側に配置
・迎え飾り：玄関や門に向かって右側に配置
これにより、飾り方の間違いを防ぐことができます。
ひとつの門松を飾る場合
ひとつだけの門松を飾る際、特定のルールはありませんが、利用可能なスペースに応じて松の種類や配置を考慮することが望ましいです。
門松の設置期間はどのように決まるのか？
門松の設置期間は地域や慣習によって異なりますが、一般的なガイドラインを説明します。
門松の設置開始日
一般的には12月13日から28日までに門松を設置することが多いですが、クリスマスデコレーションを片付けた後の12月26日から設置を始める家庭も増えています。
12月28日は「末広がり」を意味し縁起が良いとされ、12月30日も同様に良い日とされています。
避けるべき門松の設置日
門松の設置には避けるべき日が存在します。
12月29日
日本では数字の「9」が「苦」を連想させるため、29日は「二重の苦」を意味し、縁起が悪いとされています。
12月31日
12月31日は「一夜飾り」として知られ、この日に飾ることは歳神様に対して不敬とされており、避けるべきです。
門松の撤去時期について
門松の展示期間は地域によって異なり、「松の内」という期間に沿って設定されます。
展示期間の範囲
多くの地域で、元旦から小正月にあたる1月15日まで門松を飾る習慣があります。
特に関西地方ではこの伝統が色濃く残っており、1月15日まで門松を飾る地域が多いです。
一方、関東や九州では「松の内」を1月7日までとする地域が増えています。
門松の撤去
門松は松の内の最終日に撤去するのが一般的です。
しかし、松の内が1月15日とする地域と1月7日とする地域があるため、撤去日は地域の習慣に合わせて確認が必要です。
総括｜門松ひとつだけでも大丈夫！｜その設置と展示期間
門松は伝統的に左右対称で設置されることが多いですが、過去にはひとつだけで設置することも一般的でした。
スペースの限りがある場合やコストを抑えたいときは、ひとつのみの設置が良い選択肢となります。
ひとつだけ門松を設置する際は、出飾りと迎え飾りの意味を理解して選ぶことが重要です。
提案された飾り方を参考にしながら、適切に設置しましょう。
通常、門松は12月26日から28日にかけて設置を始め、地域によって異なる松の内の最終日に撤去されます。
撤去する日にちは事前に地域の習慣を確認しておくことが大切です。
