時々、ふとした瞬間に、長い間忘れられていた墨液が見つかることがありますね。時間が経ち過ぎて使用する機会も見込めない古い墨液、どう処分すればいいのかと悩むこともあるでしょう。
特に、子供たちが使っていた学校の書道セットを片付ける時、墨液の処分に困ることは少なくありません。
この記事では、墨液を適切に処理する方法、墨液容器の正しい扱い方、そして墨液の使用期限について詳しく説明します。液体の墨液を処分する際にはちょっとした工夫が必要ですが、簡単で衛生的に行う方法をご紹介します。
墨液の適切な処分方法
古い墨液を処分する一つの方法として、新聞紙に吸わせて燃えるごみとして出す方法がおすすめです。多くの市町村のごみ分別ガイドには墨液の処分方法が記載されていないことが多いですが、この方法は全国的に認められているので、安心して実行していただけます。
処分準備のための必要品
必要なもの:
- プラスチック袋
- 吸収材(新聞紙など)
プラスチック袋は、墨液を吸収した新聞紙を保持するために使用します。牛乳パックも使えますが、これはリサイクル資源であるため、本来の目的以外での利用は避けるべきです。そのため、プラスチック袋の使用が推奨されます。
墨液を吸収する材料としては新聞紙が最も一般的ですが、他にも以下の材料が使えます:
- 書道用の半紙(使用済み)
- 古布(使用済みのタオルや雑巾など)
- キッチンペーパー
- 使い捨ておむつ
- 雑誌や折り込み広告のページ
これらの材料は液体を吸収するのに適しており、新聞を購読していない家庭でも代替品を見つけることができます。
処分方法
- 適量の新聞紙を取り、手で丸めます。
- プラスチック袋を開いて、丸めた新聞紙を入れます。
- その上からゆっくりと墨液を注ぎ入れます。
- プラスチック袋の口をしっかりと縛ります。
まず、適量の新聞紙を取り出して丸め、プラスチック袋に入れます。その上から古い墨液をゆっくりと注ぎ入れた後、プラスチック袋の口をしっかり縛ります。これを燃えるゴミとして指定された日に出せば、処分は完了です。
墨液を下水に流してはならない理由
墨液を台所や洗面所のシンクに流したいと思うことがあるかもしれませんが、以下の理由から絶対に避けるべきです。
排水口に残る墨の汚れ
台所や洗面所のシンクに墨液を流すと、黒い汚れが残ります。これは墨が排水口の水垢に染み付き、固着するためです。これを取り除くには、洗剤を付けたスポンジで強くこする必要があり、大変な労力を要します。
特に、シンクや洗面台に傷がある場合、その傷に墨がこびりつき、除去が困難になります。新築の家や賃貸物件でこのような問題が発生すると、大掛かりな清掃が必要となるため、非常に困ることになります。
水質汚染のリスク
日本の下水道整備は進んでいる地域も多いですが、全国の約80%の地域でしか完了していません。残りの20%の地域では、家庭からの排水がそのまま自然環境に流れ出ることがあります。
このため、墨液を排水に流すと、これらの地域で自然環境に大きな負担をかけることになります。環境保護の観点からも、墨液の排水処理は避けるべきです。
墨液容器の正しい処分方法
使用済みの墨液容器は、ほとんどがリサイクル可能なプラスチックで作られています。これらは資源回収を通じて再利用されるため、適切な処分方法を知っておくことが重要です。以下がその手順です:
- 容器を丁寧に水で洗い、すすぎます。
- 容器を逆さにして水分をしっかり切ります。
- 指定されたリサイクルバッグに他のプラスチックゴミと共に入れます。
地域の資源ゴミ収集日に合わせて外に出します。
また、PET製の墨液容器もあるため、プラスチックとは別に分別が必要な場合があるので注意が必要です。
墨液の使用期限について
市場に出回っている墨液には大きく分けて二つのタイプがあります:
- 本格的な書道で使用される膠(にかわ)ベースの墨液。
- 学校での書道授業に使われる合成糊剤ベースの墨液。
膠ベースの墨液は動物由来の成分を含むため、約2年で品質が劣化し、独特の臭いがするようになります。一方、合成糊剤ベースの墨液は腐敗しにくい成分を含むため、最長で5年間保存が可能です。しかし、固形の墨から作られる墨液は、腐敗しやすく、作成後2〜3日以内に使い切ることが理想です。
固形墨の正しい廃棄方法
書道に使われる固形墨は、燃えるゴミとして処理できます。固形墨は煤(すす)と膠(にかわ)を主成分としており、これらは可燃性の材料であるため、普通の燃えるゴミとして捨てることができます。
使わなくなった墨液の活用方法3選
墨液を捨てる前に、以下のような別の用途で活用することができます、特に臭いが強くない場合:
- 黒い家具や内装の小さなキズを隠すために使用する。
- 墨を使って年賀状を手書きする。
- 絵画やアートプロジェクトで使用する。
これらの方法は、特に黒い家具の目立たないキズをカバーするのに効果的です。また、墨で書かれた年賀状は他にはない個性的な印象を与えることができます。
墨液処理のポイントまとめ
- 墨液はビニール袋に入れた新聞紙に染み込ませてから、燃えるゴミとして捨てます。
- 下水道に墨液を流すと排水口の汚れや水質の悪化を引き起こすため、絶対に避けるべきです。
- 使用後の墨液容器は洗浄してから、プラスチックゴミとして処分します。
- 学校で使われる墨液はおよそ5年が使用期限です。
- 固形墨も燃えるゴミとして処理可能です。
押入れの奥から見つかる古い墨液も、購入から5年が経過していれば、これらの新しい処理方法を検討する良い機会です。