「株式会社」という言葉は、日本で最も普及している法人形態の名称です。
この言葉を目にする機会は多いものの、その読み方について「カブシキガイシャ」と「カブシキカイシャ」のどちらが正しいか自信を持って答えられる人は少ないかもしれません。
また、企業のウェブサイトやパンフレットなどでも、フリガナが記載されていない場合が多いため、正しい読み方が分かりづらいと感じる人もいるでしょう。
今回は、「株式会社」の正しい読み方について、詳しく説明していきます。
正しい読み方は？「カブシキガイシャ」と「カブシキカイシャ」の違い
「株式会社」の読み方として、一般に挙げられるのは「カブシキガイシャ」と「カブシキカイシャ」の二つです。
この両者のどちらも正しい読み方として辞書に記載されています。
ただし、実際のビジネスシーンにおいては「カブシキガイシャ」が広く使われているのが現状です。
そのため、「カブシキガイシャ」を標準的な読み方として認識しておくと良いでしょう。
辞書に見る「株式会社」の読み方
「株式会社」という言葉の読み方について、辞書ではどう記載されているのでしょうか。
精選版 日本国語大辞典では、「カブシキガイシャ」と「カブシキカイシャ」の両方が正しい読み方として挙げられています。
辞書には「株式会社」の定義も詳しく記載されています。
それによれば、「株式会社」とは株主が出資した資本をもとに株式を発行し、株主が出資額の範囲で責任を負う法人形態を指します。
株主総会や取締役会、監査役といった組織を持つことも特徴の一つです。
このように、辞書には「カブシキガイシャ」「カブシキカイシャ」いずれも正しいと明記されており、言葉の背景や制度についても触れられています。
登記時のフリガナ表記でわかる「株式会社」の読み方
2018年3月12日以降、法人の登記申請では、商号のフリガナを記載することが義務付けられました。
これは、「法人が活動しやすい環境づくり」を目指した取り組みの一環であり、申請書には商号のフリガナを明確に記載する必要があります。
この変更により、法務局の申請書や国税庁の法人番号公表サイトで法人名のフリガナを確認できるようになりました。
実際に国税庁の法人番号公表サイトで調査を行った結果、「かぶしきがいしゃ」と「かぶしきかいしゃ」のどちらも登録されていることがわかりました。
ただし、約8割が「かぶしきがいしゃ」として登記されており、ビジネスシーンで主に使われていることを裏付けるデータとなっています。
| 読み仮名 | 登録数（2023年4月29日時点） |
|---|---|
| かぶしきがいしゃ | 473件 |
| かぶしきかいしゃ | 99件 |
例として、売上高が日本国内でトップクラスの企業について調査しましたが、これらの企業の会社概要ページや登記情報には、読み仮名の明記は見当たりませんでした。
どうして「カブシキガイシャ」がよく使われるのか？
「株式会社」の読み方として「カブシキガイシャ」が主流となっている背景には、日本語の言語的な特徴が関係しています。
特に「連濁」と呼ばれる現象が、その理由の一つです。
連濁とは、2つの単語が結びついて1つの語を形成するとき、後半部分の語頭が濁音に変化する現象を指します。
この現象は日本語において一般的であり、特にカ行、サ行、タ行、ハ行で始まる語で顕著です。
たとえば、「かぶしき（株式）」と「かいしゃ（会社）」が結びつくと、「かぶしきがいしゃ（株式会社）」となり、自然な響きとなります。
同様の例として以下があります：
- ふうふ + けんか → ふうふげんか（夫婦喧嘩）
- やき + さかな → やきざかな（焼き魚）
このように、日本語の発音規則に基づいて「カブシキガイシャ」が多く使用されるのです。
「KK」という略語で表現されることも
| 略語 | 意味 |
|---|---|
| KK | 株式（kabusiki）と会社（kaisya）の頭文字 |
「株式会社」を略して「KK」と表記することがあります。
この省略形は、日本法人を示す場合や国際的な文脈で特に使用されることが多いです。
この略語の由来は、「株式（kabusiki）」と「会社（kaisya）」の頭文字「K」を組み合わせたものです。
たとえば、ある企業の日本法人が「〇〇株式会社」であれば、それを「〇〇KK」と簡潔に表記することができます。
これは特に海外の取引先や書類上で見られるケースが多い略し方です。
一例として、Weblio辞書では次のように説明されています：
ケー‐ケー【KK】
- 読み方：けーけー
- 解説：株式（kabusiki）と会社（kaisya）の頭文字から成る株式会社の略号
こうした略語は頻繁に使用されるわけではありませんが、覚えておくと便利な場面があるでしょう。
会社名に「株式会社」を含める必要性とは？
法人の名称に「株式会社」を含めることは、日本の法律で定められているルールです。
この規定は、会社法第六条に明確に記載されています。
以下はその条文の抜粋です：
会社法第六条（商号）
- 会社の名称は「商号」とする。
- 株式会社、合名会社、合資会社、合同会社のいずれかである場合、その種類を表す名称（「株式会社」など）を商号中に含める必要がある。
- 他の種類の会社であると誤認される恐れのある名称は使用してはならない。
このように、会社の種類をはっきりさせるために「株式会社」という表記が求められます。
同様のルールは他の法人形態にも適用されます。
例えば、合同会社であれば「合同会社」という言葉を名称に含める必要があります。
こうした規定は、会社間の混同を防ぐための措置といえます。
法人登記におけるフリガナ記載のルール
2018年以降、法人登記において商号（名称）のフリガナを記載することが必須となっています。
このルール変更により、申請書の記載内容には一定の統一性が求められるようになりました。
具体的には、フリガナは法人名の一部を片仮名で記載する形式を採用しています。
ただし、記載時には以下のような注意点があります：
- 法人の種類を示す部分（例：「株式会社」「一般社団法人」など）は省略し、それ以外の名称部分を記載する。
- スペースは空けずに詰めて記載する。
- 記号や特殊文字（例：「＆」「．」「・」）は使用できない。ただし、「アンド」や「ドット」などに置き換えた表記は許可される。
これらのルールに従うことで、法人登記情報の統一が図られています。
不明点がある場合は、司法書士や法務省に相談することが推奨されていま
振込時における「株式会社」の入力方法
銀行振込を行う際、「株式会社」という表記を簡略化して入力するルールが存在します。
振込先の情報が限られた文字数でしか入力できない場合、このルールに従って省略します。
具体例として以下の形式が挙げられます：
- 商号が先頭にある場合：カ）〇〇〇
- 商号が途中に含まれる場合：〇〇（カ）△△事業部
- 商号が末尾にある場合：〇〇（カ
この省略形は、銀行や振込システムごとに共通して使用されるため、覚えておくとスムーズに手続きが進みます。
詳しい入力方法については、振込先の指定に従うことをおすすめします。
「株式会社」の読み方まとめ
「株式会社」の読み方に関して覚えておきたいポイントは、以下の2つに集約されます：
- 2つの読み方がある：「カブシキガイシャ」と「カブシキカイシャ」のどっちも正しい。
- 「カブシキガイシャ」が主流：特にビジネスの場面では、「カブシキガイシャ」という読み方が広く使われている。
これらの点を押さえておけば、読み方について困ることは少なくなるでしょう。
正式な読み方の違いや使い分けが分からない場合でも、基本的には「カブシキガイシャ」を選べば無難です。
