長い間、「サクマ式ドロップス」を製造してきた佐久間製菓株式会社が、2023年1月に事業を終了することになりました。映画「火垂るの墓」にも登場するなど、多くのファンに愛されていたこの甘いキャンディーの消滅が、多くの人にとって寂しい出来事となっています。
しかし、この製造終了がきっかけで、佐久間製菓の製造する赤缶とは別に存在する緑缶に注目が集まっています。実はこれらは異なる企業の製品だったのです。この記事では、その背景や佐久間製菓株式会社の歴史について詳しく解説します。
114年の歴史を持つ「サクマ式ドロップス」の製造終了、その理由とは
サクマ式ドロップスは、赤い缶で親しまれてきた佐久間製菓株式会社の飴です。子供たちにとっては、缶の蓋を開けて飴を取り出す瞬間が楽しみの一つでした。
佐久間製菓は廃業の背景に、厳しい価格競争、他のヒット商品の不足、さらに新型コロナウイルスの影響による需要の減少を挙げています。これらの結果、2021年度には約1億5千万円の赤字を記録し、財政状況が悪化したとされています。
多くのファンにとって、サクマ式ドロップスの製造終了は寂しいニュースです。一方で、緑色の缶に入った「サクマドロップス」も存在しており、これは戦後に設立されたサクマ製菓が製造しています。
サクマ製菓は新しい試みに挑戦し続けており、その結果、緑缶のドロップスが生き残ることとなりました。佐久間製菓とサクマ製菓は異なる戦略を採用しながらも、それぞれ独自の道を歩んできました。
サクマ式ドロップスとサクマドロップスの製品ラインナップとその違いについて
佐久間製菓株式会社が提供するキャンディーの中には、サクマ式ドロップスをはじめ、八王子産はちみつのど飴や濃いめの梅味のど飴、強いミントフレーバーのハッカドロップスなど多岐にわたる製品があります。
さらに、袋入り飴など、消費者のニーズに応じた多様な商品展開が試みられていましたが、残念ながら経営は難航していました。
製品の比較をすると、缶のサイズやラインナップに違いが存在します。サクマ式ドロップスはイチゴ、レモン、オレンジ、パイン、リンゴ、ブドウ、チョコ、ハッカなどのフレーバーを揃えていますが、ミントやチョコレートは余りやすい傾向にあります。
一方で、サクマドロップスはこれらのフレーバーに加えて、スモモやメロンなど新しい味が加わっています。
また、サクマドロップスは「鬼滅の刃」や「ハローキティ」といった人気メディアとのコラボレーションを行い、さまざまな世代から注目を集めています。このような取り組みが、幅広い層に支持される理由の一つとなっています。
114年続いたサクマ式ドロップスの軌跡とその歴史
サクマ式ドロップスが2022年に114周年を迎えたことは、この製品が長年にわたりどれほど愛されてきたかを示しています。
このキャンディは、佐久間惣治郎によって英国式のキャンディ作りの技術を取り入れ、1908年(明治41年)に独自の研究を経て完成しました。この成果は「サクマ式製法」と名付けられ、登録商標としても認められました。
第二次世界大戦後、横倉信之助によって企業は再興され、東京池袋に工場が再建されました。戦前は大阪や満州にも工場が存在していましたが、戦火によって全て失われてしまいました。現在は大阪営業所や八王子工場で運営が続けられています。
1988年には、アニメ映画「火垂るの墓」に登場したことでさらに知名度を高め、その後も同映画とのコラボレーション商品が販売されています。伝統的な製法や風味を守り続けることが、消費者にとって大きな魅力となっています。
サクマ式ドロップスの廃業は多くの人にとって悲しいニュースであり、その長い歴史と文化的価値は計り知れないものがあります。
サクマ製菓株式会社の製品群とその歴史
サクマ製菓株式会社は東京の目黒に本社を置き、大阪に事務所、長野県に製造施設を持つ企業です。
1948年にスタートし、「サクマドロップス」の製造を始めたこの会社は、1964年には「チャオ」、1970年には「いちごみるく」を市場に投入し、これらの製品は長年にわたり高い人気を維持しています。
サクマ製菓は、サクマドロップス以外にも、コメダ珈琲店とのコラボレーションキャンディや、特に若い層に人気の「チャオ」など、多様なキャンディを展開しています。
また、「いちごみるく」は、女子高生の鞄から取り出されるイメージが浸透しており、親しみやすいブランドとして認知されています。
さらに、カスタマイズが可能な「サクマ デコ ドロップス」などのユニークな製品も提供し、革新的なビジネス戦略で市場に適応し続けています。
このように、サクマ製菓は時代と共に進化し続けることで、長きにわたり消費者に支持されているのです。(参考:サクマ製菓株式会社|商品ラインナップ)(参考:サクマ製菓株式会社|会社沿革)
サクマ式ドロップス廃業、多くの人々からの感慨深い声が寄せられる
サクマ式ドロップスの廃業が発表され、多くのファンから寂しいという感想が寄せられています。若い世代の中にはジブリ映画『火垂るの墓』を知らない人もいるかもしれませんが、この飴は長年にわたり多くの人々に愛されてきました。
特に、『火垂るの墓』とのコラボレーションは多くの感慨を呼び、その終了はさらに感慨深いものになっています。
子供の頃から親しんできたものがなくなるというのは、言葉では表現しにくいほどの寂しさがあります。この廃業のニュースをきっかけに、多くの人が緑缶と赤缶が実は異なる会社の製品であることを初めて知り、自身の記憶にどちらのドロップスが残っているかを振り返っているようです。
また、両製品に共通して含まれるミントフレーバーの風味の違いを新たに感じ取ることもあるかもしれません。
結論:サクマ式ドロップスの遺産は文化と記憶の中で生き続ける
サクマ式ドロップスは、その長い歴史と伝統を保ちつつ成長してきた愛されるキャンディです。今回の廃業は、創業者の理念を引き継ぐことの難しさを浮き彫りにしましたが、このブランドは依然として多くの人々に愛されています。
サクマドロップスのように新しいアイデアを取り入れながら生き残る企業も存在し、そのバランスのとり方が成功の鍵です。佐久間製菓株式会社の事業が終了しても、サクマ式ドロップスはジブリ映画をはじめ、様々な形で人々の記憶に残り続けるでしょう。